6話 : おじいちゃんってさ

今日は珍しく予定の無い休日だ。


外はすっかり夏になり、つい先週からセミの鳴き声が聞こえ始めた。
俺はクーラーを聞かせた部屋でボストンバッグに荷物を詰めていた。



今日から3連休、久しぶりに帰省しようと思い立ったのだ。


しばらく忙しくて連絡もとっていないし、
春先には大きなダンボールに食品やトイレットペーパーや風邪薬やら…と大層な仕送りがあったのだ。
にもかかわらずお礼をするのも後回しになっている。


このイケメン面をせめてものお礼に連休中たっぷりと披露して恩返しするつもりだった。


まあ本音を言うと、いつも「お盆には帰ってこい」とうるさい母を
「こないだ帰ったとこだ」とあしらって8月の連休は女の子と海に行くのが目的なわけだけれど。


実家までは電車で2時間、手土産を買う時間も考慮して俺は早めに家を出た。



「あらあら、日に焼けたわねえ!」


実家の玄関をくぐると母が出てきて言った。
顔を見たら素っ気なく台所へ引換したが、その声は嬉しくて仕方がないことを表してくれている。


「腹減ったー」
「はいはい。」



俺は荷物も解かず、居間の畳に寝転ぶ。

い草の匂いなんて、本当に久しぶりだ。


10分もしないうちに母親が昼飯を持って現れた。

一人前のお盆の上には
山盛りの唐揚げとチャーハン、ラーメンが乗っていた。





「う、わ、あ」

「あんた好きでしょ。まだいっぱいあるから。」

「う、うん・・・」



母親はいつまでも俺が食欲旺盛な中高生であると思っているらしい。


やはり朝食を取らずに来てよかった。


目を細めて俺を見る母親の視線を感じながら俺は完食した。



食後はテレビでも… と思いそちらに目をやるとテレビ台の上に見慣れない写真立てが飾られていた。



小学生の頃の家族写真だ。



子供が巣立った後、こんなものをみて孤独を紛らわしているのか…と
少し切ない気持ちになりながら写真を手に取る。


今より少し若い両親と、小学校高学年の頃の俺と妹、祖父が庭に並んでこちらを見ていた。


「ハゲ爺・・・」




思わず祖父の呼び名を口にしていた。

祖父はこの写真をとってから数年のうちに交通事故で亡くなったのだった。
随分思い出すこともなかったけれど、
そういえばこんな顔をしていたっけ・・・


両親には怒られていたが、祖父とふたりっきりの時だけ祖父をハゲ爺と呼んでいた。


俺が知る限り、祖父の頭に毛が生えていたことはない。


幼少期の記憶をたどると祖父もスーツを着て通勤していた姿をおぼろげに思い出すことができるが、
その時も毛の無い坊主頭だった。

体格もよかった祖父はその見た目から近所の子供達に恐れられており、
女みたい と馬鹿にされる俺をよく守ってくれていたのだ。



俺は写真立てをそっと元の位置に戻した。



畳の上に仰向けになる。

遠くから母親が「食べてすぐ寝たら牛になるよ!」とお決まりのセリフを飛ばしているが
気にしない。




その時の俺は 「隔世遺伝」 という言葉が頭から離れなかったからだ。





祖父は禿げていたが、父親は今でも薄毛の予兆すらない髪をしている。



もし、もしも祖父のハゲが隔世遺伝したとしたら・・・?





目の前がふと暗くなる。



ハゲ爺はいつからハゲ爺だったんだろう…




そんな疑問が頭をよぎる。
答えは母親に聞けばわかるだろう。


台所に目をやると洗い物を済ませた母親が早くも晩飯らしき調理に取り掛かっていた。





頼むよハゲ爺、また俺を守ってくれ・・・





ハゲるんじゃないかという恐怖にすくんだ俺を睡魔がさらっていく。

俺はそのまま真っ暗闇に包まれた。

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